天文十九年武田晴信判物1

武田晴信判物1

 この文書は、天文十九年武田晴信が真田幸綱に対して発給した文書です。まず、年来の忠信を褒め次に幸綱の本意、つまり真田郷を攻め取った暁には諏訪方三百貫文と横田遺跡上条と合わせて千貫文を与えるという、約束手形である。

 諏訪方とは現在の上田、横田遺跡上条とは現在の戸石城あたりである。千貫文というと、石高換算すると三千石(上田から信幸が松代に移る時に石高換算をした一貫文三石を参照)ぐらいである。恐らく旧領真田郷とこの千貫文を合わせた領地を与えられるであろうから、旧領に復帰した時は四~六千石(二千貫文程度)の領地を約束されていたのであろう。

 ちなみに、五千石を江戸時代の徳川幕府の兵役に当てはめると、小者まで含めると百七人となる。戦国時代の北条の兵役は五十貫文につき七人、を当てはめるともう少し多かったかも知れません。

 この文書は、幸綱が初めて領地を約束された文書です。戸石崩れが天文十九年九月なので、この合戦の前に士気高揚のために出された文書でしょう。この時武田軍は、村上勢に敗れ去りました。このすぐ後にこの戸石城は、真田幸綱が単独で手に入れています。「高白斎記」には、「戸石の城、真田乗取」と記されています。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


歴史

前の記事

吾妻鏡の三原野の巻狩